私の父親は今年80歳。
今、病院のベッドにいる。息苦しさを訴えて入院してから1か月以上経つ。
実は途中退院したのだが、その2日後にはまた入院する事態に。
母親は78歳。腰は曲がっているが至って元気ではある。自分の腰が曲がった姿を見ては「こんなに曲がちゃってみっともないねえ」を一日に何回か口にする。
集中治療室にいる父親を見舞ったときだった。
まだ意識が錯乱し、混迷してるときに
「ほら、そこのはこうして。だめだよ、そんなんじゃ」とうわ言を言ってた。
それは長く勤め上げた会社を思い出したのではなくて、人生最後に勤めた会社のうわ言だった。
よっぽど、最後の会社のことが頭に残っているんだろう。
そんな父が力なくあげた手を私に向けた。手を握ると
「はい、握手」
と少しだけ父親の手に力が入った。その手は暖かく、その温かさが私の心を締め付けた。
今父親は少しだけだが、回復傾向にある。
とても喜ばしいことなのだが、父親の回復にあたってまた新たな難問も抱えることになった。
これもまた現実。
人間一人では絶対に生きて行くことはできない。
病院に入れば、医師、看護師、スタッフ、介護施設に入ればまた多くの人にお世話になる。
いろんな人に助けられて命があることの実感。そしてお金がなければ、生きていけない現実。
この一カ月で介護のことでかなり考えさせられました。
九段会計事務所 丸山 幸恵